斉藤孝  カメのブログ

カメの個人的ブログです。私の趣味、ガーデニング、友人との交流

ニュージーランド マウント・クックのタスマン氷河を飛ぶ

タスマン氷河に着陸 
2019年7月に初めて真冬のニュージーランドに行きました。Mt.Cook(標高3.724m)の タスマン氷河にスキー付き軽飛行機で着陸し雪山を楽しみました。南半球でもスイスアルプスのような白銀の山々が待っていました。
北半球と気候は逆ですから7月は冬の始りになります。夏には麓の草原にはルピナスの花々が一面に咲き乱れると聞いていますが、真冬の今は霜が立ち零下の寒さでした。小さな飛行場から6人乗りの小型機が飛び立ちます。雄大なタスマン氷河を登り詰めて深い雪に覆われたタスマン氷河に着陸しました。機体の足には小さな車とその横にスキーが付いています。僅か20分の飛行でMt.Cookの近くの氷河に着きました。同乗者はスコットランド人の三人家族。パイロットは「7月にこんなに晴れることは非常に珍しい」と、ひさびさのフライトに喜んでいました。帰りはパイロットのサービスでニュージーランド・アルプスの壮大な山並みを遊覧しながら、そのむこうに見えたタスマン海峡の輝きを楽しみました。
  
You raise me up, so I can stand on mountains;   
  You raise me up, to walk on stormy seas;
 

あなたの励ましで、山頂に立つこともできる  
     あなたの力づけで、荒れすさぶ海もわたろう

ニューシーランド タスマン氷河
     
   ニュージーランド Mt.Cookのタスマン氷河 

「You Raise Me Up」
 生きる勇気を与えてくれる素晴らしい意味です。世界中で大ヒットし、多くの国々で歌われている歌詞です。2002年にシークレット・ガーデンが発表した楽曲です。この楽曲の始まりは次のような文句です。 
When I am down and, oh my soul, so weary;
When troubles come and my heart burdened be;
Then I am still and wait here in the silence,
Until you come and sit awhile with me.

落ち込んで、こんなに疲れたときや
困難にぶち当たり 心に重荷を感じたときも
ここで静かにじっと待っていよう
あなたがやって来て 傍にしばらく座ってくれるまで 


     You Raise Me Up (with lyrics) - Selah    (YouTubeから引用)

6人乗りスキー軽飛行機 
パイロットを含めて定員6人乗りのスキー軽飛行機は乗員の体重まで厳重に測定されます。無駄なものは一切預けて乗り込みました。機内は狭く、窓も小さいですが広がる壮大なタスマン氷河の荘厳な輝きを楽しめました。
inside
軽飛行機の内部

軽飛行機の翼はクック山とニュージーランド・アルプスの山々にすれすれに飛んでいきました。


すれすれに飛ぶ軽飛行機

アメリカ・グランドキャニオンへラスベガスからこのような小型セスナで飛んだ経験がありますが、あの時は砂漠のような荒野でした。今回は真っ白な雪と氷河の世界でした。タスマン氷河にスキー軽飛行機は音もなく着陸しました。

ski plane
スキーを付けている軽飛行機

 「斉藤孝のホームページ」へ戻る

スポンサーサイト



ルネッサンスは裸婦の時代

薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体

   "Youth is not a time of life; it is a state of mind"

これはサミュエル・ウルマン(Samuel Ullman)の「青春の詩」の一節です。マッカーサー元帥愛誦の詩としても有名。確かに後期高齢者にとり励みになる内容です。

青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う。
薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。


しなやかな肢体  困ったのは「薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく」という部分に違和感が残っていることです。3月にフィレンツェのウフィツィ美術館に早朝一番に入館して、大好きなボッティチェリの 『プリマヴェーラ』を夫婦で独り占めできました。

ボッティチェリの『プリマヴェーラ』

テーマは「愛」。 中央に、位置を高くして君臨しているのは、愛の女神ヴィーナスですね。 『ヴィーナスの誕生』のヴィーナスと比べると、衣装を身に着け、慎み深い姿です。素敵なのは、透けるような白色のドレスを着用した妖艶な女性が描かれていることです。半透明のドレスをまとい踊る三人の女性は、左は「愛欲」、中央は「純潔」、右が「愛」の女神だそうです。しなやかな肢体の三人の女神に「ゆたかな想像力、炎える情熱」を感じます。75歳になり変態後期高齢者の仲間入りをしました。


ボッティチェリの 『ヴィーナスの誕生』

裸婦の絵画
ルネッサンスは暗黒の狂信的キリスト教から文化・芸術を解放し、ヘレニズムとローマ時代の美を復活させました。女性の姿も裸のヴィーナスとして堂々と描かれるという男性にとって天国のような時代となりました。裸婦やヌードの姿は誰もが認める普遍的な美の題材だったのですね。そのような裸婦の絵画をみることは私も大好きなのですが、若いころは長く立ち止まることに躊躇しました。純情だったのです。時代もエロ・グロ・ナンセンスも控えめでした。ポルノ・サイトなど皆無でした。


後期高齢者の老人になりやっと堂々と立ち止まる勇気がでるようになりました。スペインのゴヤの『裸のマヤ』などの記念切手を今でも大切に持っています。それにしてもルノワールの裸婦の後姿は悩ましい。


「斉藤孝のホームページ」へ戻る

シャロームとサッラーム

地球という広大な空間   
昨年も多くの海外旅行を楽しみまた。カタールのドーハやエミレーツのドバイは今や巨大なハブ空港となり、世界中の国々へも飛ぶことのできる便利なゲートウェイとなりました。24時間大混雑でまるで昔の上野駅のようです。肌の色も髪の毛の色も様々、東北弁のようなそれぞれのお国訛りで叫んでいます。
そのような騒然としたハブ空港で乗り継ぎの一時を楽しむことが大好きです。彼らは出稼ぎから帰るインド人ではないか。明るく笑いながお喋りをするフィリッピンの女性達はルソン島とミンダナオ島から来ました。これからペトラ遺跡にあるホテルで働くそうです。一生懸命に働いて母国の家族に送金するのでしょう。流ちょうな英語を喋るフィリッピン女性は世界中の働きものです。

ヨルダン ペトラ遺跡
  ヨルダン ペトラ遺跡

シャロームとサッラーム 
イスラエルの若者は頭にキッパと呼ぶ小さな帽子を付けていました。「シャローム」と呼びかけると嬉しそうに微笑んでくれました。私が3回もイスラエルに行きましたというと、なぜそんなにと驚きました。
北はヘロモン山、ガリラヤ湖、アレンビー橋、死海とマサダの砦跡、エルサレム、紅海のヘイラートそしてモーゼが「十戒を与えられた」シナイ山までにも行きました。彼は非常に驚いて私に対して、貴方はユダヤ人ですかと質問してきます。今度は冗談に「サッラーム」とアラビア語で答えて、イスラム教の祈りを真似て次のように答えました。二人で大笑いしました。

神は偉大なり(アッラーフ・アクバル)
唯一の神の他に神なし
ムハンマドは神の使徒なり

黄金のモスク
エルサレム 岩のドーム ムハンマド昇天のモスク

ユダヤ人もアラブ人も同じセム人種でイブラヒムの子供でしたから言葉もよく似ています。
ユダヤ人はシオニストだけてはありません。昔からアラブ人と共存して仲良く暮らしていたのです。パレスチナに平和を。
(続く)

マイモニデスを知っていますか

(続き)
マイモニデスを知っていますか
話の頃合いをみて、その若者に尋ねてみました。マイモニデスというユダヤ人の哲学者を知っていますか。当たり前です。日本人の貴方が何故知っているのか、不思議な顔になりました。マイモニデスの切手が発行され、肖像画はイスラエル紙幣にも採用されました。

チュニジア ローマ遺跡
  チュニジア  古代ローマ遺跡

マイモニデスの足跡
人間の完成は理性の完成であり、哲学こそが人間を神に導く。これはマイモニデスの言葉です。私にとり耳の痛い話です。未だに食欲、性欲、欲望に満ちた後期高齢者。このまま自分が認知症にでもなり性犯罪者になったらどうなるのだろう。
2018年前半の海外はマイモニデスの足跡を辿るような旅でした。スペイン、モロッコ、カナリア諸島、キプロスとマルタなど回りました。彼はスペインのユダヤ教ラビであり、哲学者でした。医学・神学にも精通していたアリストテレス主義者でもありました。

   「モーセの前にモーセなく、モーセの後にモーセなし」

モーセ・マイモニデスは暗黒の中世をルネサンスへと導いたヒューマニストでした。
歎きの壁
エルサレム 嘆きの壁 ユダヤ人の親子と

(終わり)

「斉藤孝のホームページ」へ戻る