白鳥をウォッチしてジャズを聴く
澤井 清
筆者横顔
仙台作並の後期高齢者。某女子大名誉教授。現在は全日空作並支局長。
なお全日空とは「全」ての「日」が「空」いていること。
趣味は多彩。ジャズ喫茶めぐり、写真、ハイレゾオーディオなど。
この時期、宮城県「伊豆沼」には越冬のため白鳥が飛来し、伊豆沼サンクチュアリセンターではネットで「渡り鳥飛来情報」が提供されます。今年は10月8日午前6時30分に登米市迫町の「迫川」でコハクチョウ12羽(成鳥)が飛来。平年(9日飛来)より1日早く、昨年(9日飛来)より1日早い。さらに、10月25日には、ハクチョウ類402羽が飛来した。11月から12月のシーズンには数千羽のオオハクチョウがやってくる。この伊豆沼・内沼はオオハクチョウ日本一の越冬地となる。
伊豆沼には、オオハクチョウが好む水生植物の地下茎、マコモ、蓮(レンコン) が豊富なのだろう、今年はすでに種類も総数でも昨年を上回っている。沼沿いの田んぼには落ち穂をついばむ白鳥・雁の姿が。10月31日、今シーズン初ウオッチに出かけた。
湖畔のオオハクチョウ 2019年10月30日筆者撮影
田んぼの落ち穂をついばむ「白鳥」と雁 2019年10月30日筆者撮影
沼をめぐり、野鳥群を抜け、小高い丘を目指し、もう一つのお目当ての「カフェ・コロボックル」に辿り着く。2016年3月に東京から移住してきた夫婦が開いたジャズ喫茶である。月1ライブもあり、宮城の新たなジャズスポットにもなっている。伊豆沼を望む風景に魅了されたとあって、店の窓からは絶景が広がる。従来のジャズ喫茶的雰囲気は感じられない。気楽にジャズとふれあい、寛げる、コンセプト通りの店である。そして何より、米国JBL社のフラッグシップ・モデルDD67000スピーカーからは、「ハイレゾ音源」による高音質の音楽が楽しめる。店主自作のデジタル機器類が並んでいるのは圧巻だ。客の持ち込み音源LP・CDにも対応してくれるので、すかさず持参したジャズピアノCD(後述)の中から、「白鳥の湖」(チャイコフスキー)を、お願いした。
2019年10月30日筆者撮影
「カフェ・コロポックル」 栗原市若柳 URL: cafe-korpokkur.com
このCDのEuropean Jazz Torioは、1984年から数回のメンバーチェンジを経、1995年に現在の3人、マーク・ヴァン・ローン(Pf)、フランス・ホーヴァン(Ba)、ロイ・ダッカス(Drs) からなるトリオである。Pfのマークは、「ジャズの巨人」の異名を持ち、ジャズ界を牽引した名ピアニストといわれるビル・エヴァンスの影響を色濃く受けている。2009年には、日本の歌謡曲や童謡をジャズ化した(ジャパネスク-日本の詩情) り、日本でも根強いファンが多い。
クラシック素材をジャズ化したアルバムには『SONATA(天空のソナタ)』があり、お勧めの一枚である。(前述の「白鳥の湖」はこの中に収められている。)60年代に一世を風靡した「ジャック・ル-シェ(Jacques Loussier)」、「オイゲン・キケロ(Eugen Cicero)」等を除けば、近年のクラシックのジャズ化という点では、最も成功したトリオではないだろうか。『SONATA』はジャズの良さを損なわず、その上で元の作品の良さをしっかり残している、上品で聴きやすいジャズアルバムといえよう。それでは、European Jazz Torio「白鳥の湖」ライブ演奏でお楽しみ下さい。
紹介CD
European Jazz Torio 「SONATA」MYCJ-30253 ポニーキャニオン 2004年 2880円
もうひとつの「白鳥の湖」のお勧めは、Thomas Hardin Trio の『JAZZで聴くチャイコフスキー』というCDに収められている「白鳥の湖」である。
Thomas Hardin Trio とあり、外国のトリオかと思いきや、実は日本人による演奏で、驚きです。Thomas Hardin は架空の人物名で、プロデュースと編曲は「神山純一」が担当している。ハイ・グレードな演奏とアレンジに優れた、知的でリッチでお洒落なCDとなっている。
紹介CD
「ジャズで聴くチャイコフスキー」ビクターエンタティメント VICTOR VICG-5408 1995年2500円
いずれも「廃盤」のため、入手困難、在庫店は極僅かであるが、Amazon Music、Apple Music、You Tube等で、試聴・ダウンロード購入が可能である。
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