「カメの旅物語」(その4) 海外への憧れ
2022年8月18日
斉藤 孝
続編(その4)
小さい頃から海外に憧れました。それは地図だけの世界でした。
これまでの海外の旅の想い出について写真を題材にして述べたものですが、プライベートな雑文付き写真アルバムといえます。
パルテノン神殿 アテネ ギリシャ
12年前の2010年晩秋11月、ネパールに出かけてエベレスト街道をトレッキングしました。その道順は、タンボチェ(3867m)、パンボチェ(3901m)、ペリチェ(4215m)、トゥクラ(4593m)、ロブジェ(4930m)、ゴラクシェブそしてゴールはカラパタール(5545m)でした。
ソウル中央駅 ソウル 韓国
渓谷を流れるドオドコシ川はエベレストの氷河を源流とする川で、急流を吊り橋で数回渡りました。進むにつれて酸素が半分となり高山病の対策は重要でした。
エラクリオン クレタ島 ギリシャ
高地に住むチベット人やシェルパ族にとって普段の生活の道ですから、多くの村々が点在し子供たちは学校に行き、人々はラマ教に帰依する信仰深い穏やかな生活をおくっています。
アルル プロバンス フランス
日本人にも馴染めるチベット仏教(ラマ教)です。彼らの顔は日本人とそっくりでした。そして何処でも聞こえる唄は「レッサンピリリー」の歌声でした。神々のヒマラヤの荘厳な峰々の姿こそ想い出を飾る最高の記念になりました。
その男ゾルバ アテネ ギリシァ
2020年3月はアルゼンチンのパタゴニアに行きました。パタゴニアは乾燥が激しく砂漠が広がっていますがアンデス側には多くの氷河があります。氷河の数は大小50以上あるといわれています。
サラエボ ボスニアヘルツェゴビナ
その規模は、南極、グリーンランドに次ぐ量。氷河の左の頂上が左に折れた山をモレノ山(1,670m)と呼びます。
ストラトフォード イギリス
アンデスの山々に太平洋の湿気を含んだ風がぶつかり、大量の雪を降らせ、積もった雪が圧力で氷結し氷河を形成するのです。
モスタール ボスニア
ウクライナを憂う
ロシアがウクライナに侵入した。ウクライナはロシアと同じスラブ人。仲の良い兄弟でした。何故、同胞でもあるウクライナを成敗するのか。
パタゴニア氷河 アルゼンチン
極東シベリアにいる8割の住民はウクライナ系です。彼等は19世紀末、ウクライナ・オデッサから移民船に乗り、憧れの国アメリカを目指しました。
タシケント ウズベキスタン
ところが着いたのはサンフランシスコではなく、ウラジオストックだったのです。シベリアは流刑の地。騙されました。
スロベニア
シベリアは、アメリカ西部の開拓(フロンティア)とは全く異なる、怨念を貯め込んだ暗黒の地でした。それでも善良で素朴なウクライナ農民は、厳しい寒さのシベリアで耐え忍び生きてきました。ウクライナ農民は粘り強く、熱心な宗教の民でもあります。
モスタール ボスニアヘルツェゴビナ
ギリシャ・カトリック教
2000年にポーランド国境に近い古都、リヴィウ(Львів)を訪問しました。
ギリシャ・カトリック教という融合宗教(ユニエイト)を信ずるルテニア人の研究のためです。
ボローニア イタリア
ルテニア人はスラブ民族だがウクライナ正教会に属してはいません。
固有の宗教と文化を大切に守る親切で素朴な人々です。
ドゥブロブニク クロアチア
ルテニア人は、ウクライナ西部、カルパチア山脈でユニエイトを守り、ナチスドイツや赤色ロシアの弾圧に耐え、レジスタンスを挑み生き抜いてきました。
スロヴァキアのタトラ山脈民謡『ゴラール』の歌声は、ルテイニア人にも共感される美声(アカペラ)です。
ザグレブ クロアチア
キエフ・ルーシン
2018年はキエフとオデッサを観光しました。エイゼンシュタイン『戦艦ポチョムキン』の階段を登りました。
ペトラ遺跡 ヨルダン
大河ドニエプルが流れる黄金の丘に首都キエフ(Київ)がありました。10世紀ウラジーミル大公はキリスト教を受け入れました。歴史的に、キエフ・ルーシンはスラブ民族の聖地でもあります。
アウシュビッツ収容所跡 クラクフ ポーランド
ウクライナ・コサック
森繁久彌のミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』は、ユダヤ系ウクライナ人家族の物語でした。虐められ、弾圧されて、最後はシベリアに流されていく。
現ウクライナ大統領のゼレンスキーもユダヤ系の人物。
ヒンズー教寺院 マレーシア
コサックの物語『隊長ブーリバ』はユル・ブリンナー主演で映画化もされました。
ブーリバは、ポーランド王国の侵略に抵抗したウクライナ・コサックのヘトマン(族長)でした。エリア・カザン監督『草原の輝き』の女優ナタリー・ウッドはウクライナ系アメリカ人として有名。ウクライナ人はカナダ中西部や米国中西部に多く住んでいます。
ドゥブロブニク クロアチア
「カイバー峠」 アフガニスタンの崩壊 2021年9月
1994年のガンダーラは、パキスタン北西部で栄えたガンダーラの仏教遺跡を巡る旅でした。ペシャワルから北方にカイバー峠を眺めました。あの峠を越えればアフガニスタンに入国できる。そこには憧れのバーミアンの大仏遺跡がある。
チラナ アルバニア
バーミヤン渓谷には多くの石窟があり、バクトリア様式の貴重な仏教美術を見ることが出来るだろう。その周辺に住むハザラ人は風貌が日本人とよく似ています。
コーカサス系パシュトゥン人と違うモンゴロイド系の顔なのだ。是非とも会ってみたい。失われたジンギスカンの落ち武者の子孫ではないか・・・。
あの頃のアフガニスタンは1989年のソビエット軍の完全撤退後で内戦状態なので入国できなかった。
エルミタージュ宮殿 サンクトペテルブルク ロシア
輪廻転生と鳥葬儀式 2020年3月
チベット・アミニズム宗教の信仰形態として特徴的なものは、マニ車、タルチョー(経旗)、鳥葬などが残っています。鳥葬は古代ペルシャ・ゾロアスター教徒と同じものです。違うのはゾロアスター教では死体は悪魔の住処。
莫高窟 敦煌 中国
それを火を使い火葬するなど火を崇拝するゾロアスター教徒にとりタブーです。死体は放置されてハゲワシの餌にします。インドへ逃げたパーシー教徒は「沈黙の塔」に置きハゲワシに食わせます。
赤の広場 モスクワ ロシア
チベットの鳥葬の考え方は全く異なります。貰った命を還元する。魂が抜け出た肉体を他の生命ハゲワシに布施として与えることで、 前世の罪を洗い流し天に還る。ハゲワシは魂が去った後の肉体を天へと届ける。鳥葬師により細かく裁断され、骨も石で細かく砕く。
客家 厦門 中国
これぞ天空チベットの信仰「輪廻転生」である。宗教よりもチベット哲学と呼ぶべきもの。全てを無に戻し再生を願う。戒名や墓地に葬るなどは欲望の証。鳥葬という思想は、私がこれまで抱いてきた世俗邪念を圧倒しました。
リラの僧院 ブルガリア
パンデミック
これは感染症の世界的流行をいう。こんな言葉は知りませんでした。Pandemicと書き「Pan」が付いていますからラテン語の「汎」に当たります。PanAmericaのように使われていました。語源にこだわればギリシア語のPandemia(ラテン文字表記)となります。
カミニートでタンゴ ブエノスアイレス アルゼンチン
14世紀のペストや19世紀のコレラ、さらに20世紀のインフルエンザはパンデミックになります。スペイン・インフルエンザは一億人の死者をだしたそう。国名まで付けられたスペインは大変迷惑なことになりました。
ノブゴドロ ロシア
感染症と人類との関係は一万年前からだそうです。人間が野生動物を家畜としたことに始る。ウシからは天然痘、アヒルからインフルエンザなど野生動物のウィルスが人間に持ち込まれた。そして人から人へとウィルスは感染し天然痘やペストになる。都会に人々が密集し、地球の隅々まで交通網が発達。人々が移動し交流しています。パンデミック感染拡大に最適な時代です。
モハメド昇天のモスク エルサレム
インフォデミック
パンデミック感染者の発見をまるで中世の魔女狩りのように日夜報じています。朝からテレビで感染爆発の重大局面(Overshoot)を叫んでいます。Overshootという用語は医学辞書にも載っていません。小池都知事は都市封鎖(Lockdown)を要請したいと叫んでいます。
ナムチェバザール エベレスト街道 ネパール
Lockdownという用語は、セキュリティ強化のためにソフトの機能を制限するというIT用語なのでなんとなく理解できます。もともと両方とも怪しげな英語なので意味は曖昧ですから無暗に使うべきでないと思います。世界のメディアは言葉だけで過激に人々を煽り立ています。どうやらパンデミックよりもインフォデミック(Infodemic)という情報感染症との戦いも必要です。SNSなどでデジタル世界に拡散するフェイクニュース。緊急事態を煽りパニック的な買い占め、これを機会に封鎖社会を作りだす。インフォデミックによるものです。
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